初めて甲子園、のまわりを歩いてみた
先月末の関西遠征記、とりあえずの最終回記事です。
様々な聖地巡礼、名所めぐりをこなした遠征でしたが、やはり関西の野球を語る際に甲子園球場は欠かせないでしょう。
本当は甲子園で試合が見たかったのですが、あいにく夏の甲子園開催前でしたので、試合を見ることはできませんでした。
ええ、まさかこんなことになるとは予想だにしていませんでしたけれども。
朝早くに甲子園周辺に到着し、甲子園周辺と歴史館をめぐり、甲子園だからこそ見せることができる歴史というものを堪能できた。そんな気がいたします。
今回はそれを野球ファンの皆さんに共有できればいいなと思っております。
1.歴代OBのレリーフ

球場は阪神タイガースのホームグラウンドということもあり、基本は阪神一色でプロ野球球場としての印象を強く訴えてくるような装飾が多き見られたと思います。


上二つの画像は、左が甲子園の空撮イメージのレリーフ、右が2023年の日本一の瞬間のレリーフが飾られていました。どちらも歴史を感じさせる表現をしていますが、甲子園のレリーフが始まり、一番古い歴史的ポイントといった意味を想起させるとするならば、日本一の瞬間のレリーフは最新のベストトピックということもあり、未来だったり一番新しい栄光といったものだと感じました。本当は新旧の極地である瞬間を見事に切り取っていると思います。




しばらく一塁側に歩いていくと、今度は現役選手の紹介の役割をはたしている展示が。私が小学生くらいの阪神は岡田監督の一期目。赤星憲広、今岡誠、FA移籍の金本知憲らが主力、助っ人を見るとウィリアムスやアリアス、まだ鳥谷敬が1年目くらいの2005年あたりのイメージが強いのですが、今の阪神と違いかなり高齢化していたイメージがあります。それらを振り返ると、現在の阪神はドラフトで指名した選手がしっかりと主力レベルにまで成長し、若さがあふれるチームに様変わりしたような印象を感じます。千葉ロッテもこうなってくれないかなぁ

そんなこんなで歩き続けていくと、このようなレリーフが。阪神に在籍し、永久欠番となった名選手をたたえるコーナーとなっていました。




阪神の様に創設以来ホームもチーム名もほぼ変わっていない阪神だからこそできる展示なのかもしれませんが、これは全球団やってほしい。
2.ミズノスクエア プロ野球球場としての印象

またしばらく歩いていき、一塁側観客席の裏側まで行くとミズノスクエアという場所があります。

こんな感じ。

フロアの入り口から撮った写真。入り口付近にはバッターボックスを模した模様があります。こういうので一々嬉しくなってしまうのが野球ファン。

右奥に歩いていくと、このようなプロジェクトがあります。

野球雲12号でも1934年の日米野球を取り上げました。日米野球開催にあたり、関西地域で使用する球場として白羽の矢が立ったのが甲子園球場。とは言っても企画時点で甲子園球場ありきで実施されたとは思います。それはともかく、甲子園でも日米野球が開催され、その盛況ぶりが阪神電鉄をプロ野球入りを決意させたとも言われています。
まだ、日米野球の記事作ってないから完成させないと…

ちょっと遠い写真で申し訳ありませんが、
ミズノスクエアという名前だけあり、野球用品店の最大手ともいえるミズノの歴史と甲子園とのつながりが記されています。高校野球、プロ野球のイメージが強い中で都市対抗とも繋げてきたか、と感心した覚えがあります。

そして右回りに回っていった最後、木製バットの素材として知られるアオダモが植樹されていました。こういう時に植物に深い知識があれば…こういった植樹活動も社会貢献の一つと言えるでしょう。
3.高校野球優勝校が刻まれたレンガ歩道

本当は甲子園歴史館を回った時の写真を掲載したかったのですが、写真撮影自体は許可されているものの、SNSやネットの掲載は許可されていないので、そちらは載せません。皆さん、是非とも甲子園歴史館に行ってみてください。
甲子園歴史館を堪能した後に、三塁側を歩くとやたらとレンガ仕立ての道が目立つようになります。

よく見ると甲子園レンガサポーターと書いてあります。

甲子園歴史館のサポーターとなっている企業などの名が刻まれているようです。これは結構見ごたえがあります。

こちらは2009年に行われたオール早慶戦を記念したレンガメッセージ

そして甲子園のみならず中等野球時代からの歴代優勝校をたたえるレンガメッセージが。ハリウッド・ウォーク・オブ・フェームのような、これは地元だったり応援しているチームの名前を探してしまいますね。


千葉県の優勝校を手当たり次第に探す編集者の写真。
5月の文学フリマで【明治・大正の千葉野球】という本を作らせてもらいましたが、千葉の高校野球の全盛期は習志野高校と銚子商業が甲子園で優勝したこの1974年と1975年と言われています。
探す年代が少なくて助かっただろうとか言ってはいけませんよ。
関西の野球に触れて
今回の甲子園訪問で最も驚いたのは、その展示の贅沢さでした。甲子園球場周辺には、プロ野球と高校野球の歴史を包括的に、そして網羅的に紹介する展示が数多くあり、これは阪神タイガースの本拠地だからこそ実現できるものだと感じました。
野球ファンになりたての人でも心躍るようなビジュアルと、コアなファンも満足できる情報量が両立しており、見事でした。ここは単なる大規模な球場ではなく、野球の歴史とデザインを堪能できる名所です。東京ドームの野球殿堂博物館や、千葉県船橋市の吉澤野球博物館も貴重な展示を行っていますが、「何でも見られる」という安心感、網羅性においては甲子園が一番でしょう。
展示の大部分は球場に隣接し、まるで球場を囲むように配置されている甲子園歴史館に集約されています。個人的には、「選手名が記されたボードの展示」と、実際にバックスクリーンからグラウンドに足を踏み入れる「バックスクリーン入場体験」が特に興奮しました。
「使用された用具の展示」は資料館として必須の要素ですが、現在も使われている球場のバックスクリーンに入場できるという体験は本当に貴重です。資料館としての機能と、現代的な体験プログラムをたった1000円強で味わえる。これほど贅沢な空間の使い方は、他の野球博物館ではなかなか真似できないのではないでしょうか。
今回の関西野球遠征では、鳴尾球場跡、甲子園周辺、豊中グラウンド、西宮市大谷記念美術館「野球とデザイン」を巡りましたが、どの場所もその土地が持つ野球の歴史を大切にしており、文化的な空間が広がっていました。
1日ではとても回りきれませんでしたが、まるで幼稚園児のように新しい体験に心を躍らせ、若返った気分です。来年、再び訪れる際には、もっと充実した取材ができるよう、また日々の仕事に励みたいと思います。


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